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「はぁ…」
店に着き、入口の前で深呼吸をする。
向かっている途中、雄一から『今着いた』と連絡が来たから、中に入ればもう雄一は居るのだろう。
このお店は昼はカフェで夜はバーになっている所で、私はもちろんお酒を飲むつもりはなかったのだけれど、雄一が『ここが良い』と言ったので、そうした。
今日で会うのはきっと最後だから、最後は雄一の言う事を聞こうと思った。
『いらっしゃいませー』
ドアを開けるとカウンター席に雄一は居た。
前にワインを置いてあるので、少し飲んでいたんだと思う。
もし、酔っていたら、まともな話がしずらい。
『あ、依智花。久しぶり』
雄一の横に駆け寄ると、いつもの笑顔があった。
良かった。酔っていない。
私は横の席に座り、オレンジジュースを頼んだ。
『え、お酒飲まないのか?』
「明日仕事だし。それよりごめんね…待ったでしょう?」
『いや、そんなに…。それで、お母さんの様子は?』
「うん…だいぶ良くなった。まだ、おかゆしか食べられないんだけど…」
…だめだ。
何て言ったら言いか分からない。
何を言ったって結末は同じだし、雄一を傷つけてしまうことには変わりはない。
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