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『依智花、どうした?』
雄一は私の顔を心配そうに覗き込んだ。
私は…こんな優しい…
いつだって私の事を想ってくれた優しい人を、これから。
「………っ…」
悲しくて泣き出してしまった。
武本くんの事がなかったら、雄一と結婚していたかもしれないのに。
最低だ…!!私。
『依智花っ』
「…ごめんなさい。ごめんなさい」
『どうしたんだよ』
雄一は左手で私の頭を撫でてくれた。
今は、その優しさが辛い…。
「……私と別れて?」
まっすぐ目を見て伝えた。
この3ヶ月間悩んで悩んで出した結論は「雄一と別れること」だった。
私に気持ちがない今、雄一と一緒に居ても苦しいだけだから。
『え…依智花。冗談だろ』
「冗談じゃない。本気。ごめんなさい」
『はぁ』と雄一は私の頭から手を離した。
『まず理由を聞きたい。何で?』
雄一は私に言い聞かせるような口調で言った。
「他に好きな人が出来たの」
「ごめんなさい」ともう一度伝え、私は頭を下げた。
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