第2章 別離話

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『依智花、どうした?』 雄一は私の顔を心配そうに覗き込んだ。 私は…こんな優しい… いつだって私の事を想ってくれた優しい人を、これから。 「………っ…」 悲しくて泣き出してしまった。 武本くんの事がなかったら、雄一と結婚していたかもしれないのに。 最低だ…!!私。 『依智花っ』 「…ごめんなさい。ごめんなさい」 『どうしたんだよ』 雄一は左手で私の頭を撫でてくれた。 今は、その優しさが辛い…。 「……私と別れて?」 まっすぐ目を見て伝えた。 この3ヶ月間悩んで悩んで出した結論は「雄一と別れること」だった。 私に気持ちがない今、雄一と一緒に居ても苦しいだけだから。 『え…依智花。冗談だろ』 「冗談じゃない。本気。ごめんなさい」 『はぁ』と雄一は私の頭から手を離した。 『まず理由を聞きたい。何で?』 雄一は私に言い聞かせるような口調で言った。 「他に好きな人が出来たの」 「ごめんなさい」ともう一度伝え、私は頭を下げた。
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