第1章 幕開け

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『姉貴…』 ドアを開けた途端、春一が立っていた。 涙で顔が濡れている。 『入って』 そう言われ、肩で息をしながら一歩ずつゆっくりと歩いた。 目の前には、ベッドに横たわっている父と そして、その横でしがみついて泣いている母…。 「何で?」 聞きたい事は沢山あるのに、思考が停止しているままで言いたい言葉が出てこない。 そのかわり、涙が一気に溢れた。 「どう…して?こうな…ったの?」 父の顔を見ながら、やっとの思いで声を出した。 父は、苦しそうに顔をしかめている。 顔に触れてみた。 冷たい。 心拍数を知らせる表示が「0」を示しているのは、父が亡くなった事を示している…。
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