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『姉貴…』
ドアを開けた途端、春一が立っていた。
涙で顔が濡れている。
『入って』
そう言われ、肩で息をしながら一歩ずつゆっくりと歩いた。
目の前には、ベッドに横たわっている父と
そして、その横でしがみついて泣いている母…。
「何で?」
聞きたい事は沢山あるのに、思考が停止しているままで言いたい言葉が出てこない。
そのかわり、涙が一気に溢れた。
「どう…して?こうな…ったの?」
父の顔を見ながら、やっとの思いで声を出した。
父は、苦しそうに顔をしかめている。
顔に触れてみた。
冷たい。
心拍数を知らせる表示が「0」を示しているのは、父が亡くなった事を示している…。
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