第1章 幕開け

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『…お父さん、外周りに出ていたんだ。車で…そしたら対向車の奴に…』 春一は床に座っている。 きっと立っていられないのだろう。 「そんな………」 『確実に向こうが脇見してたんだ。くそぉおおお…』 私はもう一度父の顔を見る。 側に居る母は泣き疲れたのか肩で息をしていた。 布団をゆっくり捲ると体中包帯だらけだった。所々血が滲んでいて痛々しい。 いつもなら、血が苦手で目を伏せてしまうけれど、今回はじっくりと見てしまう。 『それでさ…』 春一は、私の顔を見て続けた。 『お父さん殺したの、姉貴の知り合いだよ』 「え?」 そう言った後、静かにドアが開いた。 男の人…涙でよく姿が見えない。
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