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『…お父さん、外周りに出ていたんだ。車で…そしたら対向車の奴に…』
春一は床に座っている。
きっと立っていられないのだろう。
「そんな………」
『確実に向こうが脇見してたんだ。くそぉおおお…』
私はもう一度父の顔を見る。
側に居る母は泣き疲れたのか肩で息をしていた。
布団をゆっくり捲ると体中包帯だらけだった。所々血が滲んでいて痛々しい。
いつもなら、血が苦手で目を伏せてしまうけれど、今回はじっくりと見てしまう。
『それでさ…』
春一は、私の顔を見て続けた。
『お父さん殺したの、姉貴の知り合いだよ』
「え?」
そう言った後、静かにドアが開いた。
男の人…涙でよく姿が見えない。
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