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『本条さん』
声を聞いて分かった。手で涙を拭い「どうして、ここに居るの?」と笑って聞き返したのは、この人がこの場に関係しているなどとは少しも思わなかったからだ。
『姉貴!!そいつがお父さんを殺した犯人なんだよ!』
病室に響くくらい大きな声で春一は叫び、立ち上がってその男の人に近づく。
「ウソ…武本くんが?」
『くそぉ!絶対許さねぇからな!!』
『この男…依智花の好きな人だったよね?』
母がゆっくりと顔を上げた。
顔や目が真っ赤になっている。
「うん。…そうだよ。この人は、私が好きだった人だよ…」
-----父を殺したのは、私が昔愛した武本直哉でした-------------
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