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今、すごく気にしている事がある。
ずっと…もう3ヶ月くらい生理が来ていないのだ。
思い当たるのは「あの時」。
雄一と…最後にセックスをしたあの時に…。
調べなくちゃいけない。
「はぁ…こんな時に」
私は溜め息をつきながらお腹をさすった。
あと、問題は…お母さんだ。
何て言うのだろうか。
私の気持ちはもう決まっている。
薬局で妊娠検査薬を買ってきたから試さなきゃ。
『依智花?』
トイレに行こうと歩いていたら、母が真剣な顔をして来た。
「何?」
『やっと確かめるのね。それ……』
そう母は言い、私の右手に持っている妊娠検査薬を指差した。
私は、とっさに後ろに隠した。
『気付かないとでも思ってた?依智花の様子ずっと見てたから、私は気付いていたわよ』
「私…あまり気にしてなかったんだよね。体調も変化無かったし」
これは、本心だった。
ずっと生理が来ないから、妊娠してるかもしれないと思っていたけれど、そんな事よりも今月やっと武本くんに会える事の方が私にとっては重要だったんだ。
『雄一くんとの子よね?もし、妊娠していたらどうするの?』
「産まないよ」
『え?』
母の表情が変わった。
怒っている。
「だって、父親がいないんだよ。だから私は産まな」
バチンッ
と音がして、左頬が痛いと思った。
私は叩かれたんだ。
『雄一くんが居なくたって育てる事は出来る。せっかく授かった命を…』
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