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中絶手術は無事に終わった。
これからが勝負だ。
武本くんを手に入れるためなら、どんな手段を使ってもかまわない。
「うん、大丈夫だよ」
夜、私の事を心配した梨代那が電話を掛けてくれたのだ。
「それよりも、一週間後ね、結婚式。本当におめでとう」
『ありがとう。じゃあ、お大事にね』
そう梨代那は言い、電話は切れた。
「スピーチ、考えないとな」
そう一人言を言い、眠りについた。
そして、一週間後。
梨代那の結婚式…。
スピーチは無事終わり、パーティーが始まった。
梨代那は、結婚式→パーティーという順で計画していた。
『依智花!』
「あ、梨代那」
テーブルの近くでグラスに入ったジュースを飲んでいると、パーティードレスを着た梨代那が私の所に来てくれた。
『来てくれてありがとう。スピーチもありがとうね』
「いいえ~、梨代那、綺麗だね~」
それは心から思った事だった。
私がそう言うと、梨代那は花束を出した。
『はい。これ』
「ん?何?」
『いやだなぁ~、これはブーケだよっ!!』
「え…」
もちろん知ってる。
花嫁さんからブーケを受け取ると次に幸せになれるって…。
でも…
「えと、これは花嫁さんが投げて私達がキャッチするものでは」
『あー、それをするとさ、どこに行くか分からないし、結婚してる人がもらっちゃうかもしれないでしょ?』
「うん、まぁ」
梨代那は涙目になって、もう少しで涙が流れそうだった。
「梨代那」
『私は、依智花にも幸せになってほしいのよ。依智花は辛い思いを沢山してきた。私は何もしてあげられないし、気持ちも分かってあげられないけど、依智花の事大切に思っているから…。これ受け取って?』
私は両手でブーケを受け取り、「ありがとう」と言った。
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