第1章 幕開け

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葬儀では上手く呼吸が出来ずにいた。 母はずっと泣いたままだし、春一も目が虚ろになっている。 上手に呼吸が出来なかったが、それでも来てくれた人達には丁寧に挨拶をした。 「え、武本くんの親が?」 春一が『イヤな奴らが来た』と嫌な顔をしながら言ったので、私が対応しなきゃと姿を探した。 『…帰って下さい』 見つけた、と思ったら春一が横に立ってそう言った。 冷たい、何の感情も入っていない口調だった。 『あんたらの子どものせいでお父さんは死んだんだ』 『本当に、大変申し訳ありま』 『だから、帰れって言ってるのが聞こえねぇのかよ!顔も見たくねぇんだよ!!』 春一は泣きそうになりながら鼻をすすった。 これ以上、そんな春一の姿は見たくない。 「早く、お引き取り下さい」 私は武本くんの親達にそう言った。 『待って下さい!!』 武本くんの親達の後ろから、髪の長い目鼻立ちがハッキリしている女性が現れた。 「どちら様ですか?」
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