39人が本棚に入れています
本棚に追加
葬儀では上手く呼吸が出来ずにいた。
母はずっと泣いたままだし、春一も目が虚ろになっている。
上手に呼吸が出来なかったが、それでも来てくれた人達には丁寧に挨拶をした。
「え、武本くんの親が?」
春一が『イヤな奴らが来た』と嫌な顔をしながら言ったので、私が対応しなきゃと姿を探した。
『…帰って下さい』
見つけた、と思ったら春一が横に立ってそう言った。
冷たい、何の感情も入っていない口調だった。
『あんたらの子どものせいでお父さんは死んだんだ』
『本当に、大変申し訳ありま』
『だから、帰れって言ってるのが聞こえねぇのかよ!顔も見たくねぇんだよ!!』
春一は泣きそうになりながら鼻をすすった。
これ以上、そんな春一の姿は見たくない。
「早く、お引き取り下さい」
私は武本くんの親達にそう言った。
『待って下さい!!』
武本くんの親達の後ろから、髪の長い目鼻立ちがハッキリしている女性が現れた。
「どちら様ですか?」
最初のコメントを投稿しよう!