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「そう。引き続きお願いね。3人で大丈夫みたいだし。うん、また」
私は、すぐ電話を切り念入りにメイクを始めた。
もうすぐだ。
映理さんは要らない存在だ。
私が大好きな武本くんを奪ったし、私の父を殺した人の共犯者だし、邪魔だから。
『あら、依智花、出掛けるの?』
「あ、うん。買い物に行って来ようと思って。そろそろ冬服売ってる頃だし」
『そうねぇ。あ、じゃあ欲しい物あるから一緒に買ってきてくれる?』
「うん、分かった」
冬服なんて買うつもりなかったけれど、母に頼まれた物は買いに行こう。
あと、一時間後にはずっと会いたかった武本くんに会える…。
そう思うと頼まれ事も全然苦にならない。
待ち合わせの公園。
約束の30分前に着いてしまった。
待つのは慣れてるし、嫌じゃないから良いんだけど。
さっきから胸の動悸が激しい。
緊張してるんだなぁ。
「まず、何から言ったら…」
あぁ、どうしよう。
武本くんと何話せば良いんだぁ。
とりあえず、座ろう。
と、誰も座っていない椅子を探し座った。
平日だからか人すくないな。
誰も来なさそうな所を選んだけれど、武本くんが来たらすぐ場所を移動しよう。
本当、会えるの楽しみだ。
『本条さん』
私は、すぐに顔をあげた。
まだ来ないと思って下を向いていたのだ。
「たっ武本くん!!」
私は勢いよく立ち上がった。
武本くんは頭を深々と下げた。
『本当に、この度は申し訳ありませんでした。謝って済む事じゃありませんが、一生罪を背負って生きていきます』
「武本くん、頭を上げて?」
武本くんは、ゆっくりと頭を上げ、私をじっと見ている。
あ、本当にカッコイイ。
武本くん。
「あの事はもういいの。それより…話がしたいから、ちょっと来て?」
『うん』
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