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私は、武本くんの表情を見ながら悲しそうに言った。
武本くんは何一つ表情を変えないけれど、私は続けて言った。
「武本くんは大丈夫かもしれないけど、映理さんは大丈夫じゃないみたいね。顔に出てるよ」
本当は、武本くんの表情は同じだったが映理さんが今どんな状態でいるのか知っている私は、武本くんにカマをかけてみた。
『あ…いや…それは俺達夫婦の問題だからさ』
「…それって私の事も関係してるでしょ？」
『……』
言わないつもりなんだ。
それでもいいけど。
「武本くんが悲しい思いをしてるのは私は辛いよ」
『何でそこまで』
「だって、私、武本くんの事が好きなんだもの」
『え…』
武本くんは目を見開いて私をじっと見ている。
「前にも言ったと思うけど…本当よ」
『だけど…』
「私、武本くんの側に居たいな。居てもいい？」
ダメだって言われるかな…。
でも、私は必ず「武本くんにとって必要な人」になってみせる。
「あ、今じゃなくて徐々に…でいいから、ね？」
『…あのさ、お金払ってくれたのって本条さん？』
「え？何の話？私じゃないよ」
『そっか。じゃあ、違う人なんだな』
そう武本くんは言って立ち上がった。
「武本くん？」
『あ、いや…とにかく俺達の事は気にしなくていいから』
「武本くん、また会ってくれる？」
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