第4章 心理戦

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『え!?』 武本くんは振り向き、私の事を見つめた。 「武本くん…私の事抱くのと、私と会うの、どっちがいいの?」 これは、相手の判断力を奪う心理テクで、ネットに載っていたものだった。 例えば、デートに誘う時「デートに行きませんか?」と言うと「行く」「行かない」の二つの選択肢から選ぶから、結果は5割だ。 けれど、「デートはドライブ?映画?」と聞いたら、どちらを選んでもデートに行く事になる。 そして、「自分の意志で決めた」と思わせる事が出来る。らしい。 『あ…じゃあ、また会おうか』 ほらね。 決めてくれた。 しかも、武本くんには私に負い目があるから義務感みたいなものだろうけど。 「うん、ありがとう。何かあったら…私に言ってね。私、武本くんの力になりたいから」 武本くんは、今ストレスを抱えてる。 そう…確実にね。 ストレスが溜まっている人に優しくすると、好きになってもらえるというのも心理学にあるし…ここからが勝負ね。 「全部じゃなくても、少しだけでも」 『ありがとう。気持ちだけもらっておくよ』 それから私達はホテルを出て、それぞれの家に帰った。 また武本くんに会える…と思うと心が弾んだ。
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