第4章 心理戦

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-------------------- 武本side 本条さんに会ってから一週間が過ぎた。 『何かあったら私に言ってね』と言っていたけれど、話せないよな。 最近、映理の様子が変だ。 たぶん…いや、確実に。 話し掛けても上の空だし、時々何か一人言を言っている。 小さくて聞き取れないけれど。 後、俺の居る前でも横になっている事が多くなった。 ふと考えがよぎる。 --俺のせいだろうか…----- 「映理」 横になっている映理に近付き声を掛けた。 目を見開いたままじっとしている。 「大丈夫か?体調悪いか?」 『……じゃ…そうだ…うん』 「映理…何て言ったんだ?」 『直哉が悪いんじゃないって言ったの。私がどれだけ辛い思いをしてると思ってるのよ』 「やっぱり辛い思いしてるんじゃないか。だから離婚しようって…」 『辛いけど、私は直哉が好きなんだもん』 映理は横になりながら涙を流した。 あぁ、俺は本当に駄目な男だ。 愛した女一人も守れないなんて。 「映理。本当に申し訳ない」
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