第1章 幕開け

9/32
前へ
/95ページ
次へ
『武本の妻です』 「え…武本くん結婚してたんだ」 私は、その女性に近付きじっくりと観察をしてみた。 私の2倍くらいありそうな大きな目。 茶髪が似合っていて、ロングヘアーで…しかも艶のある髪に羨ましさを感じた。 それと同時に、心の中に沸き上がった… 「この女が私の大好きな武本くんを奪った」という憎しみの感情。 「何の用ですか?」 『あ…えと、私もその時一緒に車に乗ってたんです』 「だから?」 春一には奥に行くよう伝え、その女性を思いきり睨み付けた。 「何も聞きたくないし…もう早く帰ってください」 何で武本くんの親達には何も思わなかったのに、この女だけには苛々するんだろう。 それ程、自分が武本くんの事を好きだったなんて。 これは「嫉妬」だ。 顔も見たくなかった…武本くんと結ばれて幸せに暮らしている人を知りたくなかった。 『分かりました。本当に申し訳ありませんでした…』
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加