最終章 逃避行

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「武本くん…隣り…行ってもいい?」 部屋の電気を消すと、私は武本くんに近付いた。 「嫌」って言われるかな…。 『いいよ』 「良かったぁ」 武本くんの布団に潜ると武本くんの顔に近付く…。 さすがに"これ"は「嫌」って言われるかもなぁ…。 「武本くん」 『何?』 「私の事、抱いて?」 拒否られるのを覚悟で…。 でも、武本くんは私を抱き寄せてキスをしてくれた。 「え…死ぬ?」 朝起きると、武本くんが突然「嫌なこと」を言った。 「なんで…」 『俺、殺人犯だからさ…これから先の事を思うと』 「私が…私が守るから!!」 何で急に、そんな事言うの? 昨日、次に行く所とか2人で決めたじゃない。 『本条…いや、依智花も死んでくれないよな…?』 昨日、愛し合った時、お互いを名前で呼ぶことに決めたのだった。 それは嬉しいのに、会話の内容が嬉しくない。 「直哉…」 『責任取らなきゃいけないと思ってさ。依智花も一緒に連れて行きたい』 ずっと、直哉と一緒に居たいと思ってる。 今も、その気持ちは変わらない。 だけど、死んだら…。 死んでもずっと一緒に居られるの? そんな保障は、どこにもない。と思う。 『依智花は俺の事嫌いなの?』 「ううん、好き!大好きだよ!!」 『じゃあ…行こう?』
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