またね、お姫様

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まだ小学生になったばかりの頃、 あたしはとある女の子に嫌がらせを受けた。 あたしは、それに抵抗しようとして、 その女の子を押し倒してしまった。 すると、怒ったその女の子の両親が、 あたしのことを「娘を傷つけた問題児」と町中に言いふらした。 小さな町では、そういう話はあっという間に広まった。 そうして、あたしは町中で「問題児」と言われるようになった。 あたしは生まれつきとても感情的な性格なので、 それ以降も、たびたび学校でトラブルを起こした。 そういうわけで、「問題児」という汚名は、 ずっとあたしについて回ってきた。 問題児のあたしに、友達はできなかった。 学校では、いつも、独りで絵を描くか、絵本を読んだりして過ごした。 けれど、そんなあたしに、 唯一いつも声を掛けてきてくれる人物がいた。 それこそが、レメックだった―。 レメックは、 いつも独りぼっちのあたしを気にかけて、 友達の輪の中に入れようとしてくれた。 実際に仲間に入ることは出来なくても、 あたしは、レメックの思いが、とても嬉しかった。 優しさに、感謝していた。 あたしと友達でいてくれるのは、レメックだけだった。 あたしを問題児扱いしないのは、レメックとその家族だけだった。 あたしが唯一安心して過ごせる時間は、レメックと一緒にいる時だけだった……。 「レメック…?」 「ん?」 まだ髪や服を濡らしたままのレメックが、あたしを見た。 「…これからも、仲良くしてくれる?」 あたしが尋ねると、 レメックは「えっ?」と驚いたように口を開いた。 「どうしたのさ?急に改まっちゃって」 そう言って笑うレメックを睨みながら、 あたしは「だって…」と言った。 「だって…ちょっと無理してるでしょ? あたしと一緒にいること」 初めて、ずっと心のどこかで悩んでいたことを口に出すことが出来た。 いつも、気になっていた。 レメックは、無理をして、あたしと仲良くしてくれているんじゃないか。 あたしみたいな問題児とは、本当は付き合いたくないんじゃないかと。 クラスの人気者で、常にたくさんの友達に囲まれているレメックと、 いつも独りぼっちのあたしとでは、全く釣り合わない。 好きなのは、あたしだけなんだ……―――。
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