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二ノ宮みどりという語り手を通すことで、魅力のある作品に出来るのだとしたら、付きっ切りで後押ししてみることでみどりを開花させ、自分にも、何か新たな方向性が開花するのではないだろうか?
毎日毎日、朝から晩まで、みどりの文章を批評し、ダメ出しする。
アドバイスする山崎のテイストを吸収しながら、みどりの文章のスタイルが出来ていく。
それは、山崎一人では遂げることのできなかった、受賞作からの進化の形だった。
「過去を買うのって、生易しい事ではなかったんですね」
元々高学歴で文章力もあったみどりは、毎日泣きながら歯を食いしばって書き続け、確実に力をつけていった。
「未来に投資して自分を磨く努力をするより、安易に結果を得られると思っていましたのに…買った過去に見合う今を強制的に求められる…」
「そうですね、未来は変えられる、可変のものであるからこそ、開花しない言い訳もできてしまう…」
それは、山崎も日々感じていたことだった。
取ってつけた過去の栄光に対して、突如突き付けられた今。
それを乗り切るために二人でやってきた努力、果たして、未来を夢見て小説を書いていた時、ここまで必死にやっていただろうか?
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