花は未来にひらくのか

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 「応募も受賞もネット上で完結するものでしてね、編集者側も作家と対面したことはありません、男女どちらとも取れるペンネームですし、あなたが有名になって関係者がプロフィールを見直しても、ああ、若い女性の作家だったんだと普通に納得できるでしょう」  「内容は、大丈夫なんでしょうね?」  「ええ、エロ、グロ、妙にマニアックな内容などではなく、あなたのイメージを損ねることは無いかと…」  みどりはサングラスを外し、たった今手に入れた、才能を開花させた過去の説明資料と、請求書を眺めた。  睫毛が長くて大きな瞳は、誰もがドキッとするほど美しかったが、花咲は笑わない目でニコニコしている。  作家として才能が開花した経歴は、みどりがリクエストしたものだった。  しかし、みどりは作家になりたい訳ではない。  みどりはモデル志望の21歳、目の美しさからもわかるように、かなりハイレベルな美女だ。  モデルとしての活動に華々しいスタートダッシュを飾るために、世界的なミスコンに出場する予定になっている。  その美しさで、日本代表に手が届く圏内にいるという自信はあった。  しかし、昨今のミスコンはそれだけでは勝てない。
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