くまのほらあな～その2～

山歩きの話～その3.寝不足・水分不足の金時山～

　金時山は、箱根火山の外輪山の最高峰で、足柄市、箱根町、静岡県小山町との境にある。
　まさかり担いだ金太郎の、金太郎伝説でも有名な山だ。

「金時山はきつかった」
　私よりタフなS子がそう言うので、正直かなりビビっていたのだが。

「私が前に登ったコース、なんか勘違いしてもう一山超えてたみたい」
　それもすごくないか。

「1番短いコースなら、初心者でも行けるらしいよ」
　じゃあ、登ってみようか。

　おそらく、車が1番楽だと思う。東名高速から降りて、乙女峠を越えたあたりに駐車場があるので、そこに停めればよい。あとは、金時神社から出発して、ひたすら頂上を目指すのだ。

「新宿からバスも出てるらしいよ」
とS子が情報をくれた。

「じゃあ、それで行こうか」

　登山客に人気の山、混雑のことを考えると早い方がいい。バスゆえ、道の渋滞や遅れも充分考えられる。だからやっぱり、早い方がいい。

　その結果。
　6時35分、バスタ新宿発のバスと決まった。

　早っ。

　自分たちで決めたとは言え、早い。
　逆算した結果、家を5時25分に出ることになった。

　朝ごはんは、パンでもバスの中で食べよう。支度だけすればいいから、起きるのは――5時前にしようか。

　前日まで私は仕事である。早く寝ないと。
　バタバタと風呂に入り、浴びるように急いでビールを飲んで、眠りについた。