山歩きの話~その3.寝不足・水分不足の金時山~

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 10~20分くらいだろうか、たっぷり休んだら調子が安定してきた。  後で思うに、最初から飛ばし過ぎたのがよくなかった。水分不足、寝不足、そんな状態でガツガツ動いたら、そりゃ倒れそうにもなるって。  おそらくあの時、軽い脱水症状を起こしていたと思う。 「うん、大丈夫、行こうか」 「大丈夫?」 「もしきつくなったら、また止まるかもしれないけど」 「いいよ、いいよ。無理しないで行こう」  その後も、階段のような道が続く。むしろ、登れば登るほときつくなる。 「くまちゃん、よかったらこれ使う?」  S子が、リュックの横からトレッキングポールを出した。 「私はまだ平気だから、使っていいよ」  両手にポールを持つと、体の支えにもなるし、4足歩行状態になって足への負担も軽減される。 「わ、これは歩きやすい」  段違いである。 「ごめん、もっと早く出せばよかったね」 「いやいやいや」 「もうすぐだよ」 「はえ?」  息が上がりすぎて、まともに声が出ない。 「ああ……着いた!」  S子は余裕だが、私はヘロヘロである。着いた瞬間に座り込みたかったが、それでは通路の邪魔である。ポールをつきながら、奥までヨタヨタ進んだ。 「うわあ、なにこれ!」  景色を見た途端、疲れが吹き飛んだ。 ↓S子撮影。これが天下の秀峰、金時山。そしてその先の、富士山。9b80feb2-e176-4b10-8285-e35639592aae
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