24人が本棚に入れています
本棚に追加
帰りは、S子のポールを2人で1本ずつ分け合って降りた。
登りは推進力を増やしてくれるが、下りは足にかかる衝撃を和らげてくれる。
つまり、私のひざを守ってくれるわけだ。
これは大事だ。借りよう。
行きですでに体力も、足も消耗しているのだ。痛くてとうとう動けない、なんて言いだす未来が見えている。
おお、これまた全然違う。いいぞ、いいぞ。このまま丁寧に下りて行こう。
この時がたまたまそうだったのか、実際に割合が多いのか。
金時山の登山客は、年齢層が高かった。
若い人もいるにはいるが、みんなひっそりと登っている。
ワイワイ話し、ヒーヒー言っている組み合わせは、私たちくらいしかない。
だから目立ったのだろうか。
先ほどから、私たちを追い抜き抜かされているおじさんに、声をかけられた。
最初は、元気だねとかなんとか言われ、そのうちに、この花がなんて名前だとか教えてくれるようになった。
しかし、次の名前を聞いたそばから、前の名前が抜けていく。
残念ながら、私たちの脳のキャパシティはそんなに大きくなかったようだ。
妙に慣れているなと思ったら、おじさんはプロのガイドであった。
基本は、丹沢で案内をしている。
今日も本当は予定があったのだが、あちらは天気が悪いということで中止にしたのだ。
「その人たち初めてだったから。悪天候で歩いて、嫌な印象つくのもよくないでしょ。せっかくなら、いい印象持ってもらった方がいいじゃない」
全くその通りだと思った。
私も、何気なくS子と登ってみた高尾山が楽しかったから、今ここにいるのだ。
散々な結果で、苦しい思いだけしてたら、続いていないと思う。
最初のコメントを投稿しよう!