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おじさんの案内で、無事に下山できた。
ポールのおかげで、ひざもそこまで痛くない。
多少の痛みや疲労はあるが、前回のように歩くのがつらい、というほどではない。
私たちは、これから温泉施設を探しに行く。
おじさんは、また歩いてバイクの停めてある乙女峠まで戻るという。
「……」
ざっくり言えば、また金時山を登って下るようなもの。
玄人のあっさりした物言いに、言葉を失う私たちであった。
ガイドのおじさんと別れ、バス停に向かった。
「これから、どうしようか」
少し行くと、仙石原。このあたりも温泉宿がたくさんあって、寄って行くにはちょうどよい。
だが、私には少し気がかりがあった。
「でもさ、ここでゆっくりして、バスとか時間大丈夫かな?」
時刻は、ざっと14時。今から施設を探すとして。
バスを待って移動して、少し歩くだろう。
それからお風呂に入ってゆっくりして……バスの時間があるのか、ないのか。
あればよいが、行ってみて帰りの時間を確認したら、びっくり、なんて展開も考えられる。
何が言いたいかというと、いっそ湯本まで行ってしまおうよという提案だ。
そこでお風呂に入れば、あとは電車の時間だけ気にすればよい。さすがに小田急なら大丈夫だろう。
今、待っているバスも、ちょうど湯本まで1本で行ける。
「そうだね、そうしようか」
S子も賛同してくれたため、我々は湯本まで戻ることにした。
バスに揺られながら、どこへ行くかを考える。
行き先を決めたところで、S子がまた寝落ちた。
この人は本当に、どこでも寝られるなあ。
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