山歩きの話~その3.寝不足・水分不足の金時山~

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 おじさんの案内で、無事に下山できた。  ポールのおかげで、ひざもそこまで痛くない。  多少の痛みや疲労はあるが、前回のように歩くのがつらい、というほどではない。  私たちは、これから温泉施設を探しに行く。  おじさんは、また歩いてバイクの停めてある乙女峠まで戻るという。 「……」  ざっくり言えば、また金時山を登って下るようなもの。  玄人のあっさりした物言いに、言葉を失う私たちであった。  ガイドのおじさんと別れ、バス停に向かった。 「これから、どうしようか」  少し行くと、仙石原。このあたりも温泉宿がたくさんあって、寄って行くにはちょうどよい。  だが、私には少し気がかりがあった。 「でもさ、ここでゆっくりして、バスとか時間大丈夫かな?」  時刻は、ざっと14時。今から施設を探すとして。  バスを待って移動して、少し歩くだろう。  それからお風呂に入ってゆっくりして……バスの時間があるのか、ないのか。  あればよいが、行ってみて帰りの時間を確認したら、びっくり、なんて展開も考えられる。  何が言いたいかというと、いっそ湯本まで行ってしまおうよという提案だ。  そこでお風呂に入れば、あとは電車の時間だけ気にすればよい。さすがに小田急なら大丈夫だろう。  今、待っているバスも、ちょうど湯本まで1本で行ける。 「そうだね、そうしようか」  S子も賛同してくれたため、我々は湯本まで戻ることにした。  バスに揺られながら、どこへ行くかを考える。  行き先を決めたところで、S子がまた寝落ちた。  この人は本当に、どこでも寝られるなあ。
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