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ロマンスカーは18時34分の小田原発だ。小田原までは、鈍行で移動する。
さすが観光地、電車は人でいっぱいだ。
ところが、小田原で下車する人が意外にも少ない。
「みんな、鈍行で帰るのかな」
「結構、きついよね」
「そんなに高いかな」
「でも家族とかだとさ、×4人とかで地味にいくんじゃない」
「あー、なるほどね」
鈍行で頑張る皆さんには悪いが、私たちは特急料金を払ってでも、座って帰らせてもらう。
ロマンスカーは、やっぱり空いていた。
車両の1番後ろの席に、2人並んでゆったり座る。当たり前だが、バスとは大違いだ。
「さっき買った梅、食べてみようかな」
とS子が言った。
1粒で売っている、いいやつに決まっている梅干し。
袋を開けて、かじった。
「美味しい? やっぱり違う?」
しばらく咀嚼した後、S子がうなずいた。
「うん、美味しい――けど、ご飯がほしい」
でしょうね。
炭水化物なら、圧倒的に米というほど、白いご飯が大好きなS子。
それは、家で食べた方がよかったんじゃ、というセリフを、どうにか飲み込んだ私であった。
「これも食べよう」
次にS子が開けたのは、まぐろチーズ。
まぐろの角煮とチーズが合わさったキューブが、個包装されている。
石原物産のまぐろチーズで調べていただければ、わかるかと思う。
「1個あげるよ」
「いいの? ありがとう」
2人そろって、まぐろチーズを口に放り込んだ。
「ビールほしい!」
「ご飯がほしい!」
どっちがどっちのセリフかは、あえて書くまい。
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