こんなこともあるだろう

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 平日、仕事のある朝は5時15分に起きている。  別に朝早い仕事でもない。勤務開始は8時45分。まあ至って一般的な時間だ。その詳細は、こうである。  起きて、弁当を作る。朝ごはんの支度をして、もしゃもしゃと食べる。片付けと身支度をして、家を出る。これが、6時40分。  6時52分の電車に乗る。通勤ラッシュの激混み列車に乗るのが嫌で、あえて各停を利用する。  特急や急行に乗れば、本当はもう少し遅くまで寝ていられるのだ。だが、あの混雑は私は受け付けない。エブリスタの読書だって、絶対にできない。だって、開いた側のドアに人が集まりすぎて、電車傾いてるもの。  そんなわけで、チマチマと進むこと1時間ちょい。駅に8時過ぎに着き、会社には15分ごろ着く。30分前だから、まあいい時間だろう。  話を戻そう。  ニトリのデジタル時計には、時刻、月日、曜日、温度、湿度が表示されている。  アラームを設定すると、月日の数字が切り替わって、設定した時刻が現れる。私の場合なら、5:15と出るわけだ。  事件は5月16日の朝に起きた。  パチっと目が覚めた。やけに目覚めがいい。よく眠った感覚がある。  そして同時に、非常に嫌な予感もした。  スマホを怖々見る。――6時15分。 「ノー!」  やってしまった、どうしてこうなった。  昨日、確かに時計を見たはずだ。ちゃんと5:15になっているのを確認して、電気を消したはずでは――。 「5月15日だ」  思い返せば、設定した記憶はない。見て、5と15の数字に安堵したことしか、残ってない。  そんなドジがあるものかと思ったが、現に自分がやっている。  弁当を作る時間はない。  とにかく、電車に間に合わせて昼食はコンビニで買おう。  昨晩炊いておいた白飯を、包んだラップから直に食べる。本当なら、みそ汁と漬物を合わせて、優雅に食べているはずだったのに。  1人暮らしを始めて、○年。ドジはいつまで経っても尽きそうにない熊野である。
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