はし、折れる

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はし、折れる

 どこかで見たタイトルだと思われたかもしれない。  この引用だと思った方は挙手をどうぞ。 https://estar.jp/novels/25808063/viewer?page=18  引用と言えば引用だが、しかし、折れたものは仕方ない。もちろん、わざとなんてやってない。私だって、折れないでいてくれるなら、折れてほしくなかった。  そんなわけで、本稿にてご報告を。  はし、と言っても漢字に変換するといろんな意味が出てくる。さて、どのはしだろうか。  橋? それが折れたら今ごろニュースになっているだろう。  端? 何の端が折れたのか。  もう、お分かりだろう。箸だ。  私は、仕事場に形だけのお弁当を作って持って行っている。2段の弁当箱に、白米と冷凍食品のおかずと、決まり切った卵焼きと小さいウインナー。  メニューは固定。飽きより、バリエーションを考える面倒くささが、圧勝しているからだ。  その日も、自分のデスクで黙々と弁当を食べていた。  向かいには先輩が、右側のお誕生日席には上司が、それぞれ黙って昼食を取っている。上司はホットドックを食べていた。  ご飯に、箸を差しこむ。グッと力をこめ、程よく冷えたご飯を一口大に取る。  私は、お弁当は温めない派だ。冷めたって美味しい。それが弁当だ。  そして、何より面倒くさい。  温めるだけじゃないか、と思われる方もいるだろう。  違うのだ。わざわざ席を立ってレンジまで行くのも、レンジが空いているタイミングを伺うのも、待っている間に次の人に後ろに並ばれるのも、何もかもが面倒なのだ。  だったら、サッサと食べてしまった方がいい。こちらとら、11時からずっとお腹空いてグーグー鳴らしているんだ。  失礼、話がそれた。  そう、空腹もあったのだろう。私の食べるペースはそこそこ早かったと思う。  ご飯に、箸を差しこむ。グッと力をこめ――  バキイイン、と音がした。  うひいい、と変な声が出た。  箸の片方が、見事に割れている。  つまり、テコの原理によって加わる力に、箸が耐えられなかったのだ。  待ってくれ、ご飯はそんなに固くないぞ。私の力加減がおかしかったのか?
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