24人が本棚に入れています
本棚に追加
はし、折れる
どこかで見たタイトルだと思われたかもしれない。
この引用だと思った方は挙手をどうぞ。
https://estar.jp/novels/25808063/viewer?page=18
引用と言えば引用だが、しかし、折れたものは仕方ない。もちろん、わざとなんてやってない。私だって、折れないでいてくれるなら、折れてほしくなかった。
そんなわけで、本稿にてご報告を。
はし、と言っても漢字に変換するといろんな意味が出てくる。さて、どのはしだろうか。
橋? それが折れたら今ごろニュースになっているだろう。
端? 何の端が折れたのか。
もう、お分かりだろう。箸だ。
私は、仕事場に形だけのお弁当を作って持って行っている。2段の弁当箱に、白米と冷凍食品のおかずと、決まり切った卵焼きと小さいウインナー。
メニューは固定。飽きより、バリエーションを考える面倒くささが、圧勝しているからだ。
その日も、自分のデスクで黙々と弁当を食べていた。
向かいには先輩が、右側のお誕生日席には上司が、それぞれ黙って昼食を取っている。上司はホットドックを食べていた。
ご飯に、箸を差しこむ。グッと力をこめ、程よく冷えたご飯を一口大に取る。
私は、お弁当は温めない派だ。冷めたって美味しい。それが弁当だ。
そして、何より面倒くさい。
温めるだけじゃないか、と思われる方もいるだろう。
違うのだ。わざわざ席を立ってレンジまで行くのも、レンジが空いているタイミングを伺うのも、待っている間に次の人に後ろに並ばれるのも、何もかもが面倒なのだ。
だったら、サッサと食べてしまった方がいい。こちらとら、11時からずっとお腹空いてグーグー鳴らしているんだ。
失礼、話がそれた。
そう、空腹もあったのだろう。私の食べるペースはそこそこ早かったと思う。
ご飯に、箸を差しこむ。グッと力をこめ――
バキイイン、と音がした。
うひいい、と変な声が出た。
箸の片方が、見事に割れている。
つまり、テコの原理によって加わる力に、箸が耐えられなかったのだ。
待ってくれ、ご飯はそんなに固くないぞ。私の力加減がおかしかったのか?
最初のコメントを投稿しよう!