ハハハ

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ハハハ

 土曜、私の休日。  昼食を取って、ふくふくと昼寝をする至福のひととき。  少しだけ、目が覚めた。  覚めたと言っても、完全ではない。夢とうつつ、半々といった状態である。  特に嫌な夢を見たわけでも、ストレスに追われているわけでもないのだが、私は強く歯ぎしりをしていた。  ああ、よくない。こんなことをして、歯が弱ってグラグラしたらどうするんだ、と思いつつも、止められない。  わかっちゃいるけど、かさぶたを剥がしたくなるあの心境と似ている。  大体、歯ぎしりくらいで抜けるわけがないのだが、その辺りまさに寝ぼけた状態。そもそも、その程度で抜けるようなら、とっくに歯医者に行っているはずだ。  の、はずだが。  ガキッ。  口の中で、嫌な音がした。  舌で探ると、中でコロコロ歯が転がっている。あるべきはずのところに、ない。しかも、抜けたのは1本じゃない。  水をすくうように両手を差し出して、中身を出した。  なんてことだ、歯がゴロゴロ。まるで、白いレゴブロック。  不思議なことに、痛みは全くなかった。出血もない。  ということは、抜けるべくして抜けた歯なのか? もう取れる寸前だったのだろうか。  いや、とにもかくにも、こんなにいっぺんに歯が抜けたとは一大事だ。レゴと化した歯を抱えたまま、「お母さん!」と叫んで報告しに行く。 ……ん、お母さん?  ハッキリ言う。私は1人暮らしだ。  実家とは同じ沿線の近い距離にあるが、かと言って母が頻繁に来るわけでもない。少なくとも今日はいない。だから悠々と昼寝をしていたのだ。  違和感を自覚したら、全てに気付いた。そうだ、これはアレだ。  本当に、目が覚めた。 「……夢か」  舌で探ったら、歯は全員無事であった。
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