熊野、初めてスタジオを借りる

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 決意を胸に、ドラムを借りられるスタジオを探した。  おお、意外とあるものだ。  だがしかし、週末や祝日は混んでいる。  うーん、これは平日に休めた時を狙うしかあるまい。  そう思いつつ、思うだけで時間が過ぎた。  そんな中、幸いにも平日を休みにするタイミングが訪れた。  これは、予約するしかあるまい。  スタジオを借りるなんて、人生初である。こんな、素人同然でしかもブランク持ちの私が行っていいんだろうか。下手したら、練習というよりドラムを触ってみよう体験みたいな状況になりかねない。  なんて、どうでもいいことをグルグル思案し、部屋の中もグルグル回ったあげく、ええいしっかりしろと自らを叱咤して、『予約する』ボタンを『ぽちっとな』した。  爆発はしなかったので、ご安心を。  プロのドラマーなら自前のドラムセットも持っているだろうが、素人には手の出せる代物ではない。スネアかペダルくらいは持っている人もいるかもしれないが。  大体、置く場所がない。  個人で用意するものと言えば、スティックだ。叩く棒、と言えば伝わるだろうか。  スティックにもたくさん種類があるから、人によって使いやすいものが全く変わってくる。同じものを使い続けていれば、さらに馴染んでくる。  野球チームに所属している人が、毎回グローブを誰かに借りたりはしないだろう。自分のものを持っているはず。あれと同じだ。  昔使っていたスティックは実家のどこかに眠っている。探すのも面倒なので、新しいものを購入。一緒に電子メトロノームも購入。これは必須アイテムだ。  さあ、準備はできた。  利用時間は2時間。  今回、楽譜は持って行かない。  どうせ、なまった腕を戻すのに時間を食うだろう。ウォーミングアップと基礎練で半分くらい持っていかれそうだ。  予約時間に合わせて家を出たら、通勤通学ラッシュとかち合った。失敗した……もう少し遅くすればよかった……。
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