熊野、初めてスタジオを借りる

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 さて、スタジオの様子はこんな感じ。 ↓ドラムセット。もちろん、スタジオで借りたもの。bcc106e1-6f8d-46c7-9607-d7db2b27d99d ↓右にカメラを向ける。アンプと鏡。私だったら自分の演奏なんて見たくないけど……そうもいかないのかしらね。5375bdc1-924c-4185-9e79-00b76bf14921  これで9帖、1時間あたり1430円。  ただし、直前に借りた場合のみ適用される個人練習料金を使ったので、今回は660円。2時間で1320円。ありがたい。  正直、2人が限界かとは思う。3、4人入るは入るだろうが、音が混じって練習にならないような。  1人で個人錬か、2人でちょっと合わせるくらいが適しているだろう。  ちなみに、もっと大きい部屋もあるのであしからず。  よし、早速始めよう。  譜面台を立て、メトロノームを設置し、スティックを出して、まずは手首をほぐす。――デスクワークによる肩こりも手伝って、非常に硬い。  ドラムの前に座り、諸々叩きやすい位置に調整する。まずは基礎練習から始めよう。  なんたって、10年以上スティックを握っていないのだ。遅いテンポから、いきなり激しい動きをしてはいけない。手を痛める。  高校3年間、ほぼ毎日やっていたメニューだ。嫌でも覚えている。  ちゃんと覚えていた――頭だけは。  びっくりするほど、思うように動かない。  ある程度は予想していたが、ここまで硬いとは。  テンポがずれていることや、均等に叩けていないことは、自覚している。なんなら、声に出して歌えば、正確に刻める。  ただとにかく、手が動いてくれないのだ。  思わず、声を上げて笑ってしまった。  やっぱり10年は大きいか。面白いもんだ。  となれば、メニュー1つ1つをじっくりやるべきか。予定を変更して、ハイテンポはやめた方がいいだろう。  基礎練のあとは、フレーズをいくつか練習してみる。おうおう、リズムが崩れる。バスドラムが合ってない。こりゃあ、ひどい。また大爆笑。  いったん、ゆっくりやろう。どこがずれているのか、丁寧に洗おう。  楽しい。出来ていないのに、楽しい。  出来ていない状況を受け入れて、少しずつ練習して、出来るようになるのが、楽しい。少しずつ現役時に戻る感覚が、楽しい。
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