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若い頃の私は、とにかく出来ないことが嫌だった。
他人より上達が遅いのも、練習量が必要なことも。
そのくせ、やっぱりかっこいいと思われたいから、上っ面でごまかすところがあった。
うーん、私も少し大人になったかしら。
まあその前に、当時と今では、差し迫る本番に追われているかいないかの違いがあるけれど。
学生時代バンドに明け暮れていた、私の父が話してくれたことがある。
大学を卒業して、就職して、数か月後にかつてのバンド仲間と演奏をする機会があったらしい。
楽器に触るのも久しぶり。なのに、学生時代より、上手くなっている気がしたと言うのだ。
単なる演奏のテクニックどうこうではなく、周りに気を配ったり、丁寧に弾くことであったり。おそらく社会人として働きだして、人として未熟だった部分が少しは成長した結果ではないかと、話していた。
なるほど、と思った。音楽って、そういうところある。
ただ、速く弾ければ叩ければいいってものでもない。いろんな要素が混じっている。
これは私の個人的な考えだが、いくら速く叩けたってカッコいいフレーズが叩けたって、自分がリズムに合っているかも自覚できないプレーヤーを、上手いとは思わない。
そんな風に考えているからだろうか。どうすれば叩けるのか、試行錯誤しながら出来る様になった私のドラムは、高校時代よりもいい演奏をしているかもしれない……そんな気がした。
でも、試行錯誤してできるようになったのは、間違いなく昔の私が頑張ったからだ。
あの積み重ねの上に、今の楽しいドラムがいる。
そして、重ねた歳の上にも。
高校時代の私と今の私、どちらも欠けてはいけない。
なんて、大層なことを書いてはみたが、レベルとしてはペーペーである。テクニックもなければ、簡単なフレーズしかできない。
基礎練で手をほぐしたにも関わらず左手は痛いし、長時間座り続けたせいで、腰まで痛くなる始末。
前言撤回、歳なんか重ねるもんじゃないや。
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