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「説明もできない? どういうこと?」
「地下にいるのかな」
「とりあえず、地上に出てもらった方がいいよね」
「じゃないと、どこにいるかわからないし、説明のしようがない」
『とりあえず買い物は先にしてて』
N子からまた来た。
『集合場所たどり着いておくので、後で迎えに来て下さい』
いや、行けるか!
集合場所への道すじはおろか、自分の現在地すらわかっていない友人を置いて移動するほど、冷酷な人間になった覚えはない。
C子も同意見のようで、直接電話をかけてみた。
「あれ……出ない」
「出ない?」
「切れちゃう」
「やっぱり地下なのかな」
その後、N子からの連絡が途絶えてしまった。
N子が所在不明のまま、S子が合流した。
かくかくしかじか、状況を説明する。
「周りの写真でも送ってくれれば、まだわかるかもね」
「もう1回電話してみるよ」
N子から、写真が送られてきた。
みんな、それぞれ見てみる。
「これ……反対側じゃない?」
「だね」
なんと、彼女は駅の東側にいた。
「よし、わかった、迎えに行こう!」
「そうしよう、そうしよう」
「N子にはそこから1歩も動かないでいてもらおう」
「だね」
かくして、3人ゾロゾロと歩き出した。
渋谷スクランブルスクエアの、上の方と見た。エスカレーターで上がる。
「あ、あれN子じゃない?」
「え、違うよ」
「あれは? あれ」
「N子、あんな白い服着ないよ」
S子が、見つける人誰でもあれがN子じゃないかと言いまくり、C子と私は全然似ていないだろうと止めつつ、どうにかN子本人と会うことができた。
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