いい年した大人が迷子になったり、ピザやケーキ食べたり、UNOで遊ぶだけの話

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 さて、時刻は12時前。昼食を調達する必要がある。 「通り道に、よさげな店を見つけたのよ」  私はみんなにURLを送った。  イタリアンバルの店で、主にローストビーフなどの肉料理が人気だそうだ。 「テイクアウトもやってるみたいだから、ここで買っていけたらどうかなって」 「いいね!」 「肉ならよし」 「肉は間違いないわ」  集合時のドタバタで、予定より大幅に時間が遅れている。2人ずつに分かれて、先にマンションに行くグループと、店に行くグループで別行動を取った。  店を探した私、それからC子が買い出し組。 「ああ、ここだ」  109の左側、TOHOシネマズの地下。  店を伺うと、ちらほら空席も見える。  そこまで大忙し、というわけではなさそうだ。 「すみません、テイクアウトってできますか?」 と店員に尋ねてみた。 「すみません、テイクアウトはやってないんですよ」 「おう……」  すみません、いえこちらこそ、とペコペコし合いながら、我々は店を後にした。 「コロナ落ち着いたから、終わったのかもね」 「あるかもね」  事前に電話するなり、もう少し調べておけばよかった。  とりあえず、先発組に報告する。 『テイクアウトやってなかった!』 『こっち、出前館あるよ』 「マジか」  なんと、レンタルスペースで出前館が使えるらしい。何だ、だったら最初からそちらを使ってもよかった。というか、そんなことサイトに書いてあったっけ?  ま、いっか。  遅刻しても誰も怒らず、心配しつつ最後は大笑いする。誰も昼ごはんのことについて調べず、何となく探していい感じに収まる。  でも、それは4人全員が、各自なりに考えて動いて、楽しく過ごそうとしているから。  だから、お互いのことがだんだんわかってきた。 『○○は多分そうだと思った』が私たちの合言葉。  速度と波長の合う、友人たちに出会えたことこそ、大学時代の最大の収穫だと思うのだ。
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