いい年した大人が迷子になったり、ピザやケーキ食べたり、UNOで遊ぶだけの話

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 C子と私がマンションに到着すると、S子が出前館の登録に苦戦していた。 「どうした」 「なんかさ、ここから先進まないのよ、何で?」  賑やかな彼女は、ひとりごとも声が大きい。 「ちょっと待って、もう1回やってみる!」  しばらくは、それを見守っていた我々だったが――。 「出前館なら、私も持ってるんだよね」  私の隣に座っていた、C子が言いだした。 「住所変えなきゃいけないけど」 「お、その方が早いか?」 「えっ、C子できるの?」  スマホにかじりついていたS子が顔を上げた。 「早く言ってよ~」  さながら、某CMに出ている松重豊さんのような顔に、他の3人がどっと笑った。 「いや、頑張ってるから見守ろうかと」 「見守んなくていいよ」  そんなわけで、注文はC子が進めることになった。 「何があるかな」 「あっ、ドミノピザあるよ!」 「ピザいいじゃん、ピザ」 「注文して20~30分くらいで来るって」 「その間にコンビニ行って、飲み物とか買ってきたらいいね」 「じゃあ、何食べようか」  C子のスマホを、私が一緒に眺める。 「お、肉あるじゃん」  牛すき焼き、炭火焼き塩豚カルビ、炭火焼きビーフ、炭火焼きチキてり、4種の肉が集まった、その名も『肉ピザ・クワトロ』。 「ねえ、肉あるけど、どう?」  私は、S子とN子に尋ねた。 「肉なら何でもいい」 「もう今、肉の気分だから」  そこに関しては、私もC子も同意見だ。 「よし、肉食べよう」 「とりあえず、肉食べときゃ何とかなる」  肉ピザをメインにLサイズ、もう1枚クワトロをこちらはMサイズ。 「こんなもんでいいか」  ピザは、というつもりで言ったのに。 「ポテトは~?」  S子が、迷子になって泣きそうになっている子供みたいな顔をして言った。 「何つう顔してんの」 「めっちゃ泣きそうになってんじゃん」  当然、ポテトも頼む。もちろん、2箱。
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