いい年した大人が迷子になったり、ピザやケーキ食べたり、UNOで遊ぶだけの話

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 食欲は学生時代のまま、しかし体は確実に○○年の衰えを感じている。 「うう、食べた、食べた」 「いやあ、肉よかった」  食後、部屋に置いてあったUNOで遊ぶことになった。 「UNOなんていつぶりだろう?」 「私、姪っ子とよく遊んでるよ」 「ちょっと待って、これそもそもどういうルールだっけ?」  ボケた発言をしたのは、この私。  UNOなんて、小学生の頃にやった記憶しかない。  トランプなら、その後もやったような気がするのだが、UNOってなかなかやらないと思うのだ。  下手したら、20年くらいやっていないことになる。  え、20年?  これ何のカード? とふざけた発言をする私に、親切に教えてくれる友人たち。 「まあ、とりあえずやってみよう」  同じ数字、もしくは同じ色のカードを出せばいいのだ。ふむふむ。  N子の前の、S子がリバースを出した。  戻って、私の番になる。次は、C子。  そのままカードを出して、ようやくN子の番――と思いきや。  C子が、またリバースを出した。 「ねえ!」  たまらずN子が叫んだ。他3人は爆笑。 「参加させてよ! 私まだ1枚も出してないんだけど!」  他の3人が順調にカードを捨てて行く中、ただカードを広げて静観しているだけのN子。その心中やいかに。  しかし、叫んだところで順番は回ってこない。近付いてきたそれは、目の前で翻って熊野に飛んでしまった。  その後も、スキップされたり、やっと順番が回ってきたと思ったらカードがなくて引く羽目になったり、果てはドローツーを2枚出されたり、ワイルドドローフォーを食らうなど、散々な目にあったN子であった。  カードが多すぎて、片手に持つのが大変そうだ。 「もう……私に、私に人権をください」  嘆いてるのか笑っているのか、変なテンションで訴えるN子。  大丈夫だN子、ちゃんと人権はあるよ。  参加権がないだけで。 「だから、それをくれって言ってんの!」  つくづく、カード運のない彼女であった。
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