いい年した大人が迷子になったり、ピザやケーキ食べたり、UNOで遊ぶだけの話

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 反対に、カード運がよいとホイホイ勝ててしまうのが、UNOである。  なんとこの熊野、立て続けに2連勝した。  あの時の、色を取るか数字を取るかの選択が、ばっちり決まったらしい。これは気持ちいい。  コツは、やはりドローツーやリバース、スキップなど、数字以外のカードを極力残さないことである。  奴らがいると、どうしても上がりにくい。  もしドローツーを食らってカードを引いたとしても、順に捨てて行けばいい。  え、他のプレイヤーが先に上がっちゃう?  大丈夫、上がらせなければいいのだ。自分より前に。  誰かの攻撃に備えて取っておくより、誰かを攻撃するために積極的に使うべし。  今回、私が学んだUNO勝利の心構えである。 「あ、そうだ」 と誰かが提案した。 「次はさ、勝った順番にN子が買ってきてくれたケーキを選べるってのは、どう?」 「お、いいね」 「食べ物が絡むと、やる気出るね」  別に、負けたところで食べられないわけではない。それでは罰ゲームだ。  高野のケーキなんて、何を食べたって美味しいに決まっている。  それでも、ケーキと聞いたとたん目の色が変わった我々は、やはり食いしん坊なのだろう。  さて、結果はというと。  先ほどあんなに得意げに『勝利の心構え』など説いていた私が、最下位になってしまった。  1位はS子。やはり、食べ物が絡むと強い。2位は、前半で散々苦しめられたN子。3位が、前半はそこそこいい順位を保っていたC子。で、4位は株価大暴落の熊野。 「下剋上だ、下剋上」  全く、下剋上もいいところである。戦国大名も真っ青だ。  こういう時に、すんなり『下剋上』という言葉が出てくるあたり、一応日本史専攻の学生だったんだなと思う。  普段はすっかり忘れているけど。
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