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山歩きの話~その1.高尾山~
私は、東京生まれの東京育ちだ。
と言っても、都会の街をイメージしてはいけない。
あれはあくまで23区だけの話だ。
私の育った東京郊外、もとい八王子市は山も坂も多い。ないと生きていけない――わけではないが、車はあった方が圧倒的に楽だ。
小学校1・2年の遠足は、春が多摩動物公園、秋が高尾山。
留意願う。多摩動物園ではない。動物公園だ。多摩丘陵に沿うように作られたこの動物園、驚くほど坂を上る。勾配がきつい。そして広い。
運動不足の大人が1日歩いたら、疲労どころか間違いなく筋肉痛になる。
小学1年時は確か、高尾山をノーリフト、ノーケーブルカーで登った記憶がある。
2年の時は使ったかと思う。それにしたって、小さい子供にはなかなかのハードコースだ。
いくら元気とは言え、まだ6~8歳くらいの子たちが、山を歩き回るのだ。
そりゃ、足腰も鍛えられるであろう。
もっと言うと、家が坂の途中にあるものだから、嫌でも坂を上ることになる。
学校の帰り道、駅からの帰り道、酔って終電で帰ってきた夜道。上り坂がきつくて歩けないなどと言っている場合ではない。歩かないと帰宅できないのだ。
そんなわけで、都民の中では割と山や坂に耐性のある方だと自負していた私である。
ところが。
現在の住まいは、坂とは無縁の平地だ。
20年近く登っていた筋力よりも、数年の堕落が勝つというのか。
久しぶりに1人で高尾山に登ってみたら、息切れと汗が止まらない。足も動かない。とにかく体力がない。
ああ、私の力なんてこんなものか、とがっかりしたことを覚えている。
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