書類が下手な大人

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○年末調整の印鑑間違い  最後は、筆記でも何でもない、単に捺印する場所を間違えただけの話だ。  事件が発生したのは、社会人2、3年目くらいの年末調整でのことである。  2年目か3年目かは忘れた。そのくらいの、まだ若干いろんなことに不慣れだった時期のことだ。決して、去年の話ではない。  あ、でももう1人暮らしは始めていたな……と言うことは、どんなに若くても社会人4年目だ。  なるほど、不慣れも年数も関係なかったようだ。うん。  このエッセイをご覧の皆さまは、立派な大人の方々ばかりだ。多分、私よりも人生経験豊富な方のほうが多いんじゃないかと思う。  なので、私から改めて年末調整とは何ぞやと説明する必要もないだろう。  なんて、実は面倒だから省略したいのが本心だが。  まあ、読んで字のごとく、年末に税金の調整をするのだ。会社が。  我々会社員ってのは、毎月の給料から所得税を天引きされているわけだが、あの金額は(仮)なわけである。  1年終わってみないと、正確な額がわからないゆえだ。ボーナスとかもあるし、扶養控除のあるなしが途中で変わることもあるし。  で、1年終わる段階で、改めて計算しまーすというのが年末調整。あとは会社が確定申告までやっておいてくれるのだ。こりゃ楽ちん。  今ならそう思えるが、あの頃の私は、面倒やらよくわからないやらで、変に緊張していた。  いや、今でも面倒とは思っている。でも還ってくるなら書こうの思いでどうにか乗り切っているだけであり。  会社から配布された説明書と記入用紙と、交互に見ながら、必要事項を埋めていく。  やらかしたのは、確か配偶者控除か保険料控除だったと思う。扶養控除ではない。  用紙の上部に、会社名や自分の名前、生年月日などの基本情報がある。その下に、各項目続くのだが、私には全く無縁な話であった。  配偶者はいないし、保険も入っていないので、空欄バンザイである。  しかも、基本情報も会社が先に入力してくれているので、私は署名と捺印だけでよかった。こりゃ、楽ちん。
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