山歩きの話~その1.高尾山~

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 S子が、ブタメンとコーヒーを持ってきてくれた。 「これ、山用のタンブラーなの」  そう言って彼女が取り出したタンブラー、一般のものよりずっと保温性が高いのだそう。  その能力の高さたるや、カップ麺も作れてしまうほど。 「最近は、おにぎりとこれと、小さいカップ麺を持って行って、頂上で食べたりするんだ」  それは間違いない、至福だろう。  実は熊野、人生初のブタメンである。  人生初が、こんな最高のシチュエーションでいいんだろうか。  そりゃ、美味しいさ。  食後には、お菓子とスティックタイプのインスタントコーヒー。  ささやかな食事とおやつで、どうしてこんなに幸せになれるんだろう。  人間って、現金なものだ。  それかもしかしたら――今の姿こそが、私たち人間の本当の姿なのかもしれないと思った。  たっぷり休息を取り、他愛ない話に盛り上がるうち、頂上の広場には人が増えてきた。  やはり、土日は人が多くなる。  この日も前回も、我々は高尾山のふもとに8時半集合としていた。  うん、早めに来て正解だった。 ↓2人でブタメン。S子いわく、ミニフォークを写真のように刺すと、フタを抑えられるらしい。……賢い。6444fbc6-f7f6-490e-a127-98bd051de483
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