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初めはゆるい――どころか、ほぼ平坦な道であった。
多少のアップダウンはあるが、これくらいなら山の中でなくても、あるくらい。
「えっと、御嶽神社に行くんだよね」
神社があるなら、寄らない手はない。
バッチリ御朱印帳も持ってきている。
「神社の方行くと、坂がすごいんだよ」
「え」
足が止まりそうになったが、今さらやめるとも言いたくない。
「そんなにすごいの?」
「一瞬、めっちゃきついところある」
1度来たことのある彼女が言うのだ。過大評価という望みは低い。
何なら、私より運動経験も体力もあるS子がきついと言うのだ。私にとっては、心してかかれくらいのレベルと思うべきだ。
S子が、スマホを見つつ足を止めた。
「あ、神社はこっちだ」
「……おう」
すでに、上り坂だ。それも、延々と続いている。
仕方ない。ここを行かないと、前に進まないのだ。
「じゃあ、行きますか」
一応は、神社へ向かう参道である。
ゆえに、アスファルトで舗装してあった。
難しいところなのだが、アスファルトの方が返って疲れる場合もある。
多少のデコボコのある山道の方が、足を引っかけて水平に保つことができるのだ。
まっ平らなアスファルトは、どうしたって勾配が付いている。そこを上ろうとすると、ふくらはぎが突っ張る。
学校の体育で、準備運動にアキレス腱伸ばしがあったことを覚えておられるだろうか。
坂道で立つと、常にあの状態になるのだ。あの状態で、常に力を込めているのだ。ふくらはぎにかかる負担は計り知れない。
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