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婚礼式
宴もたけなわとなった夜、王子と姫は初夜を迎える寝室へと向かいました。ともすると震える姫の手を、王子は愛しく思い、しっかりと握り締めて、寝室へと誘い入れました。
寝台の上で、婚礼の衣装に身を包まれた姫は、ベールさえ自ら脱ぐことができないほど恥じ入っている様子でした。
王子は言いました。
「婚礼式で神に誓うよりもずっと前、あなたを一目見たその時から、ずっとあなたを愛していました。どうか私があなたに触れることを許してください」
王子は姫に無体などしたくありませんでしたので、言葉を尽くし、礼を尽くし、姫の許しを待ちました。
「どうかせめて、あなたの指先に触れてもよいだろうか。それがかなわぬなら、せめてあなたの爪先に口づけする許可をください」
薄いベールに包まれた端正な姫は、小声で「私がどのような姿であろうと、どうか今日の誓いを破らないと誓ってください。私の顔をご覧になってなお、誓いを破らないとお約束ください」と言い、その上で、王子の言葉に頷きました。
「婚礼の誓いは何より神聖なもの。何に怯えていらっしゃるのかわかりませんが、どんなことがあろうと、あなたを裏切らないと約束しましょう。未来永劫唯一の妻である姫よ」
王子は姫の清純な様子にかえって心踊らされながら、一枚ずつ丁寧に、分厚い婚礼の衣装を取り去ってゆきます。最後に姫の身体に巻き付いている袖つきの絹の下着一枚にしたところで、やっと顔を覆う薄布のベールを取り去ろうとしました。
「ああ、ようやくあなたの顔が見られる……」
王子は心が躍るのを抑えきれず、耳飾りをした耳朶に口づけし、顔を覆っていた薄布を取り去り、行為に及ぼうとしました。
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