婚約者は極道な件。

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「仕事してるから聞こえてないはずなのに…。」 柴田という秘書は、青ざめながら呟いた。 「私が応接室に何の細工をしないとでも?カメラと盗聴器くらいは当然でしょう?」 「じゃあ、今のやり取り全部見てらしたんですか?」 「はい。あなたは私の大事な拓海くんを傷つけた。あなたには今をもって秘書をやめてもらいます。」 「私がクビ?ずっとあなたのために働いていたのに!」 「それだけ、あなたは重罪を犯したということです。」 「…。」 「さあ、拓海くん食事に行きましょうか。」 要さんは何も動けない彼女を振り向きもせず俺の手をとって、応接室を後にした。 レストランに向かう車の中で。 「やめさせなくても良かったんじゃ?」 「君を傷つける者は全て排除すべきですから。」 いつもの優しい目が消え、冷たい眼差しで要さんは、微笑んだ。 やっぱりただの会社社長ではない顔が要さんにはあるんだ。
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