虹の橋の向こうには──。

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 君が家に来たのはまだ本当に幼い頃だった。  お母さんから離れて知らない場所へ連れて来られて、初めは寂しくて泣いていたね。なるべく一緒に居て、遊んで、食べて、寝て、また遊ぶを繰り返す内に僕を家族と思ってくれるようになった。  君は“猟犬”だったけど、結局殆どお仕事は無かったね。だから普通に家族として過ごすことの方が多かった。それが君にとって良かったのかは分からないけど、僕は大変だったと同時に嬉しかったよ。    春夏秋冬、季節が変わっても君が居るのが当たり前だった……。君達と僕達では生きる時間が違うからいつか別れの時が来る……それは分かっていたんだ。分かっていて考えないようにしていた。何度別れを繰り返しても、どうしても慣れることはできなかった。  でも……君は急に逝ってしまった。  他の誰かからすれば落ち着きのない普通の犬だったかもしれない。でも、僕達にとっては大切な家族だったんだ。  思い返せばいつも嬉しそうに身体を擦り寄せてくれた君の……あの尊い温もりや息遣いはもう戻らない。  せめて苦しまないことを望んだけど……ゴメンね。何もしてやれなかった……。  当たり前に君が居て、それを失った僕はきっとずっと哀しいよ。時が悲しみを癒やしてくれたとしても、君のことは絶対に忘れられないよ。  きっと……君は神様の元でも奔放なんだろうな。わがままで言うことを聞かなくて、好き嫌いが激しかったから……。でもね、神様をあんまり困らせちゃ駄目だよ?  虹の橋を渡った向こうには、きっと君の自由な世界が広がっている。大好きな草原を走って、小川で泳いで、好きなだけ食べて、そして眠るんだ。もう苦しむことも縛られることもない場所で、ずっと自由に……そう信じているよ。  今まで沢山の楽しいと嬉しいをありがとう。そして、さようなら大好きな家族。  いつかまた逢えたなら……その時は抱きしめさせてくれないか。
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