2、コガラスマルVSシャドウマスクVSRAIHA

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「確かに、この戦いは俺達が本来するべき戦いではない。何者かの作為すら感じられる」 「だったら…!」 「戦いをやめて、協力出来ると思うか?手を組んだとして、何と戦う?どう戦う?戦う以外に恐怖を払拭する方法はない」  どんな意図が隠されていようとも、シャドウマスクは戦いを放棄しない。  そうしなければ、果たせない目的がある。  自分の戦いは宿命。  記憶は無くとも、その道を選んだと言う意志は消えない。  だから、戦う。  生き残らなければ、本当の戦いは始まらないのだから。 「う…うあああああああ!!」  尊は鞄へ拳を突き立て、飛び上がった。  鞄から飛び出た金色の鎧が、腕を、足を、体幹を覆っていく。  最後に、鬼にも似た意匠の兜を被り、尊は叫んだ。 「鎧装完了!!武神鎧ヤマト!!」  名乗るのと同時に、シャドウマスクは尊へ迫った。  手に闇を纏わせ、爪のような形へ変化させ、降り下ろす。  しかし、尊は掌で受け流し、返す刀でシャドウマスクへ拳を叩き込んだ。 「…ぐっ!?」  シャドウマスクが仰け反るのと同時に、素早く背後へ回った尊の蹴りが打ち込まれた。  恐ろしいまでに鋭く、そして重い。それに、鎧を着ているとは思えないスピードだった。  僅か二発で、シャドウマスクは叩き伏せられ、大地を舐めさせられた。  シャドウマスクは絶句した。  ここまで戦力差があるとは想像できなかった。  だが考えてみれば、相手は対魔神用の機動鎧である。  ヤマトが想定する敵は闇の存在。  魔神とやらがどのような存在かは知る術もないが、闇に属する邪悪な者達であることは確かだろう。即ち、シャドウマスクも魔神達と同属ということにもなる。  対魔神用の機動鎧であるヤマトと、闇の力を操るシャドウマスクとの相性は最悪だった。 「…やってくれるな。戦うのは嫌じゃなかったのか?」 「嫌さ。だが、それ以上に俺は怖い。俺は…消えたくないんだ!」  尊の目は完全に狂気を宿していた。  さっきまであった悲しみも、備えていたであろう優しさも消え去っている。  行き過ぎた恐怖が、彼を鬼へと変えてしまったのだ。 「それはこっちだって同じだ!」  全身から闇を噴き出し、シャドウマスクが駆ける。  対する尊も、左腕を引き、右拳を突き立てて構えた。
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