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夕方5時となり、私たちはタコ公園へと向かった。
そこにはすでに聖人がいて、仁王立ちをしていた。
翔兵くんは私をブランコに座らせ、聖人の元へとやって来て「お待たせ」と呟いた。
すると「前から思ってたンだが、何でお前、麻衣美の家に出入りしてやがる?!麻衣美とは、どんな関係なんだよ!!」と言いながら、聖人はかなり動揺をしていた。
「どんな関係って、義理の姉ちゃんだけど?つかアンタ、背ぇ低いな?チビ猿か?」と言いニコッと微笑んだ瞬間、聖人はカチンっとキレたのか殴りかかるとサッと避けて、ポケットからあの猫の手のおもちゃを取り出して「よしよし。おちびちゃん、大人しく檻ン中にお帰り?」と言うと、その猫の手のおもちゃで聖人の頭をポンポン叩いたあと「女の子をイジメて泣かせるだなんて、最低なことしてンじゃねぇぞ!!」と言い思いきりお腹を殴って、一発でノックアウトさせた。
「ふん!口ほどにもない……」と言うと、私の元へとやって来て「さっ、真澄ちゃんがお腹空いたってうるさくなるから、帰ろうか♪」と言い、手を差し伸べてきた。
帰り、私は「まったくもぉ!やんちゃな弟を持った姉の気分だわ」と言うと「俺としちゃ、弟の座に居座るつもりはないンだけどね♡」と言い、翔兵くんは小さくあっかんべーをし猫の手のおもちゃで、何度もカシュカシュと手を動かしていた。
この日から、聖人は私のことをバカにするようなあだ名で呼ぶことはなくなったものの、相変わらず憎まれ口を言ってきた。
それからことあるごとに、翔兵くんに決闘を申し込んではことごとくやられていたのは言うまでもない…
そのことを真澄に話すと「マサくん、もしかしてお姉のこと好きなんじゃない??ほら、昔からいるじゃない?素直になれなくて、ついつい憎まれ口を叩く奴ってさ」と言われ、ふと保育園の頃に母の葬儀で親戚一同が集まったときに、聖人が父のお酌をしていて「ねぇ伯父さん。麻衣美が高校を卒業したら、お嫁さんにもらってもいーい?」と言うと「お~いいとも♪聖人だったら、大歓迎だよ」と言いながら父は酔っ払っていたのか、ニコニコ微笑んでOKしていたのをふと思い出した。
私は怒りが沸々と出てきて、家の電話から父と香代子さんがいるアパートに電話をし「もしもしー?お父さん?麻衣美ですけどぉー?」と言い、ニッコリ微笑んでから「おいコラテメエ、何ふざけた約束を子どもにしてンだよ!香代子さんはウェルカムだけど、テメエなんざ一生帰ってくるな!!このヴォケッ!カス!ウンコ!!変態クソジジイ!!腐れ外道っ!!!」と言いたいことを言ってから、電話を切ると「「お姉/麻衣美さん、おっかない…」」と言いながら、翔兵くんと真澄が抱きついて震えていた。
当の父は、早口て捲し立てられて何を言われたのかわからなかったのと、聖人のその約束を全く覚えていなかったとのことだった。
次の日学校に行くと、弓美がニコニコ微笑みながら「おはよん♪ねぇ、今日泊まらせて♡」と言ってきた。
「あのさぁ、毎回毎回直前で言ってくるけれど逆に考えてごらんなさいよ。皆それぞれ忙しいし、私もアルバイトがあるンだからね?」と言い、大きな溜め息を吐いた。
本当のことを言うと、絶対に色仕掛けで翔兵くんに近づきそうで怖いと思い、片時も目を
離せなかったわけで、次の日は寝不足になってしまって大変だった。
しかし弓美は「えっ??何で?うちら親友だから、いいじゃない?正治とケンカして、帰る家もないのよ。ねっ♡お願い♪」と言ってきたため、仕方なく泊まらせることにした。
この日は土曜日で学校は半日だったため、弓美はお泊まりセットを持ってきていて、準備万端だった。
多香子と別れ、家に到着すると翔兵くんが布団を干していた。
「翔兵く~ん♡」と弓美が思いきりぶりっ子声で呼ぶと、会釈をして全員分の布団を干してくれていた。
「相変わらず、ツンツンしてるのね。でもそこがカッコイイけど♡」と言いながら、弓美の目はハートになっていた。
家に入ると靴が一足あり、お客さんが来ているのかと翔兵くんに聞くと「真澄ちゃんの彼氏が来てるみたい♡てか、何で弓美さんが来てるの?」と耳打ちをしてきて、謝罪をすると「わかった。気にしないでいいよ」と言い、翔兵くんはニッコリ微笑んでからお昼ご飯が出来たと真澄の部屋のドア越しで言うと「はーい♪」と言う返事をし、彼氏の男の子と一緒に部屋を出てきて、リビングに着いた瞬間、弓美と目が合うと「げっ!何でいるのよ?!」と言い、真澄は露骨に嫌な顔をした。
それに対して弓美も「あ~ら?お子ちゃまのクセに、彼氏なんているンだぁ?クソガキのくせに、生意気♡」と言い返し、二人は火花がバチバチしていた。
彼氏こと早川昴一くんが「初めまして!早川昴一です!」と言い、礼儀正しく挨拶をしてきた。
真澄の好みであるアイドルグループにいそうな男の子ではなく、むしろ真面目な好青年タイプで驚いていると「彼ね、凄く優しくて成績もトップなんだ♪」と真澄は、ニコニコ微笑みながら尚且つ嬉しそうに話した。
食べ終え、真澄と早川くんは翔兵くんにお礼を言ってから、図書館で勉強してくると言うと去っていった。
私は食器を片付けていると、弓美は大きく背伸びをしてわざと「んっ…んん~♡」と露骨に翔兵くんにアピールをしていて、翔兵くんをチラッと見たが無反応だった。
むしろ私の隣に来て、一緒に食器を片付けていた。
鼻歌でロックバンド・justiceの曲・LAWを歌っていた。
私も翔兵くんの影響でjusticeのファンになり、翔兵くんの部活の夏合宿が終わったら都内で行われるライブに行く約束をしていて、とても楽しみだった。
「そういえば、この間justiceが歌番組に出てたのをすっかり忘れてたよ」と翔兵くんが残念な顔をして言うと「だと思って、録画しておいたよ」と言い、私がニッコリ微笑むと「おやおや??私は、のけ者ですかな~??」と弓美が一瞬ムッとした顔をしたが、ニンマリと笑った。
だいたいこのニンマリと笑ったあとは、自慢タイムがスタートするから多恵子と二人で、聞き流していた。
案の定自慢話がスタートしたが、翔兵くんは食器を片付けると「あっ、麻衣美さん。洗濯物を取り込むのを手伝って?」と言い、さっさと庭に出て洗濯物を取り込んでいて、私も洗濯物を取り込むのを手伝った。
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