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あの日から、翔兵くんは何事もなく普通に接してくるようになったものの、何となく気まずくて目も合わせられなかった。
真澄にはごく普通に話をしたりしていて、何で私にあんなことをしたのかがわからなかった。
私が「林間学校、どうだった??」と真澄に聞くと「ん~?山登りがキツかったよ。だから、全身筋肉痛って感じ」と言いながら、大きく溜め息を吐いていると「筋肉痛なら、こうやってストレッチした方がいいよ」と言いながら、翔兵くんは真澄にストレッチのやり方を教えていた。
それを見て、胸の奥がチクッと痛くなってしまい、そこにいるのが耐えられなくなったから慌てて部屋に入るとファッション雑誌を読んだ。
密着をしていたわけでもないのに、何故だかわからないけれど胸の奥がチクッと痛くなって変だなぁと思っていると、部屋をノックする音が聞こえた。
返事をすると「俺だけど」と、あのときの猫の手のおもちゃがピョコッと出てきて、何だかおかしくてクスクス笑っていると「どうしたの?」と言いながら、翔兵くんがニコッと微笑んできた。
その笑顔がいつになく眩しく見えて、ドキドキしながら「別に~?」と言い、私はそっぽを向くと「そぉ?言わないなら、こうしちゃおうかな?」と言うと、翔兵くんは私の背中を人差し指でなぞった。
「ちょっとぉ!何すんのよ!!」と言い、振り向こうとすると、抱き寄せられ「じゃあ、またキモチイイことする?」と耳元で囁かれ、ドキッとしつつ「真澄にも同じこと言ってるンでしょ??」と言いながら俯くと「言ってたら?」と言い、翔兵くんはニコッと微笑みながら更に力強く抱き締めてきた。
「何てね♡そんなこと、麻衣美さんにしか言ってないよ?」と囁くと、翔兵くんは私の頭を撫でていき、去っていった。
ドキドキしながら雑誌を読むと、特集でファーストキス特集が書かれていて赤裸々に読者の体験談が赤裸々に書いてあり、ドキドキしながら読んでいた。
この日の夕食は、鮭のムニエル・マカロニサラダ・マカロニサラダを作った際に出た野菜の皮のコンソメスープ・グリンピースご飯だった。
「ん~♡お姉が作ったご飯より、美味しいぃ~♪」と言いながら、真澄はニコニコ微笑んでいた。
「…悪かったわね。美味しくなくて」と私がムスッとした顔で言うと「麻衣美さんの料理も美味しいよね。ありがとう」と言い、翔兵くんは鮭を頬張った。
私は嬉しくて胸が苦しくなりながら、ご飯をかき込むと「ごっ‥ごちそうさまでした!」と言い、食器を片付けてから部屋へと行くと、父以外の男性に料理を褒められて、嬉しくて涙が溢れ出てきて声を殺して泣いた。
お風呂が沸いたとのことでお風呂に入りながら、ボンヤリと聖人に「お前、メガネ外すと本当にブスだよなー!」と笑いながら言われたことを思い出したのものの、翔兵くんが「可愛すぎる♡」と言って抱き締めてくれたことを思い出し、何とも言えないモヤモヤ感が出てきてドキドキしながらお風呂から出ると、洗面台でパックをした。
パックをしたままリビングへ行くと、真澄が「お姉、さっきはゴメンね?」と言い、泣きそうな顔をして謝ってきた。「へっ?どうしたの??」と私が驚いた顔をすると「さっきね、翔ちゃんに『麻衣美さんだって一生懸命作ってきたンだから、そういうことは言わない方がいい』って、怒られちゃったの。よく考えたら、お姉もお姉なりに色々頑張ってきたのに、私ったらお姉なんだから当たり前だって思ってた。本当にゴメンね!」と言ってきたから「大丈夫♪気にしないでね?憎まれ口を言うのがアンタの可愛い所なんだし、もう何万回も言われてるから、これぐらい慣れてるわよ♡」と言い、真澄を抱き締めた。
「お姉、ありがとう♡大好き♡」と言い、真澄も笑顔が戻り、お風呂へと入っていった。
私はパックが乾くまで、リビングでテレビを見ていると「仲直り出来て、良かった」と言い、翔兵くんは優しく微笑みながら麦茶の入ったコップを手にし渡すと、私の近くにやって来た。
「ありがとうね?」と言いコップに手を伸ばそうとすると、翔兵くんがニコッと微笑んでから麦茶を口に含んで、キスをすると麦茶を口に入れてきて「パックしたままじゃあ、飲めないでしょ?」と言いながらクスッと笑ったあと、翔兵くんはもう一度キスをしてきて舌を絡ませた。
「んぁ…♡ダメだって…」と私が顔を赤らめながらピクッと反応をすると「フフッ。本当、麻衣美さんは可愛いな?」と言うと、立ち上がりポケットからタバコを取り出して、口に咥えると手慣れた手付きで火を着けた。
「えっ?タバコ、吸うンだ??」と私が聞くと「んっ?うん。もしかして嫌い?」と言いながら、翔兵くんは灰皿を手にしていて、私は慌てて「いやお父さんが吸っているから、大丈夫だよ。香代子さんは、知ってるの?」とまたしても聞くと「うん。もちろん。リーゼントヘアをして学校行ってるのも知ってるよ。あれ?少しは俺のこと、気にしてくれてンだ?」と言うと、私に持ってきてくれた麦茶のコップの麦茶を一口飲むと、照れ笑いをした。
その顔にドキッとしていると「お先~♪何だか、凄く疲れてるみたいだから寝るね?おやふみ~」と言いながら、真澄は大きなアクビをして部屋へと入っていった。
翔兵くんが「さてと…お風呂に入ってくるかな」と言い立ち上がったため、私も顔のパックを剥がし、麦茶の入ったコップを洗ってから「おやすみなさい」と言い、部屋へと入っていった。
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