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それが二宮花菜との出逢いだと、その時の俺は思っていた。
入学式で再会して、お守りを探していた子だってことは気付いていて。
でも二宮は忘れてるかもと思っていたのに、ちゃんと覚えていただけじゃなくて、お守りを返そうと持ち歩いてくれていたとか。
不思議な感覚だった。
二宮を知る度に、『はーちゃん』に重なっていく。
友達のために一生懸命で、俺のことも気遣ってくれて、だけど自分のことにはてんで疎くて。
誰かが幸せならそれでいいって笑っていそうな子。
『はーちゃん』は春香だと思っていたのに。
春香と付き合っていくうちに、俺の中の『はーちゃん』とズレが生じてきた。
そんなの当たり前だ、だって『はーちゃん』だって成長してるんだから。
だけど二宮は、あの『はーちゃん』の面影に少しずつ重なってくるのだ。
あの子なら、こんな風に成長したんじゃないかって。
だから、春香に呼び出されて話を聞かされた時には。
全てに合点がいって、それから全ての原因が自分であることを知った。
俺に出会わなければ、『はーちゃん』も二宮も元気だったんじゃないだろうか。
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