恋をしました

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花菜(ハナ)、どう? いる?」  今年は暖かかったせいか、入学式よりも前に桜の花は散ってしまった。  新しい始まりは新緑の匂いと、五月の空みたいな澄んだスカイブルー。  丘の上にある市立春日丘高校1年D組、本日より私のクラス。  教室の入り口から顔だけを覗かせて、キョロキョロとこれから三年間お世話になるクラスメートたちを見回した。   「う~ん……、いない気がする」  ――あの日、優しい笑顔で私を助けてくれた人。  探し人が見つからないことに、肩を落とす。  もしかしたら、同じクラスだったりして。  そうしたら、あの出会いは『運命』なんじゃないかって。  わかってる、『運命』なんて、そんなお手軽で都合の良いものではないってこと。  まして彼がこの高校に受かっているかどうかすら、わかってはいない。  名前も知らない、一度しか会ったことのない、あの人――。  1学年5クラスもある中で、幼馴染の琉伽(ルカ)と同じクラスになったことだけでも奇跡だもの。  ん? もしかしたら、そこでもう今年の運は使い果たしたのかもしれないけれどね。
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