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まるで僕らの会話が聞こえているかのように、猫はムーちゃんの足に体を擦り付け甘えだした。
そんな猫を、ムーちゃんは無表情に眺めている。
「・・金のにおいでも嗅ぎとったか?」
「アハハッ!だったら賢いね!オマケに可愛い!」
「・・他の猫にも思った事だが、何も感じない。駄目だな、私は猫が飼えないかも。」
「無理なら僕が育てるよ!せっかく出逢えたご縁だから大切にしようよ。よろしくね、モップ。」
「モップ・・確かにモップっぽい・・。モップにしか見えない・・。名前付けは、愛着を深める行為なのにとるなよ。」
「じゃあ、ムーちゃんがつければいいじゃん。」
「・・モップだな。」
ムーちゃんは、モップを抱き抱えた。
本人は何も感じないと言っていたが、潔癖なムーちゃんが砂などで汚れているモップを抱き抱えているだけで愛着が見えてくる。
僕が猫の餌等のペット用品を買い漁る間も、ムーちゃんはずっとモップを持ち続けていた。多分モップは、僕の家に来る事はないだろう。
彼女の自宅に物資を運んで別れて、僕は電車で自分の家へ向かう。
すると、知らない番号からラインが届いた。
+ことりだよ。電話してくれたのに、全然気付かないでごめんね。最近仕事の通知が多くて、久保君用と仕事用でスマホを2本持ちにしたんだ。
僕との連絡用。凄く嬉しい。
すぐさま僕は返事を送った。
+お仕事お疲れ様!気にしないで。僕用のスマホ嬉しい。近々お家に来たいな。
+もうちょっと待ってて欲しい。お仕事忙しいんだ。
+寂しい。
+よしよし、でもしょうがない!
+しょうがないかぁ。そうだ、今日は猫と遊んだんだ。
+誰の?
+友達の!可愛いよね。
モップの写真を送った。すると何故か、ことりちゃんとのラインが止まってしまう。
そして寝る間際、ことりちゃんのラインが返ってきた。
+猫可愛くて悶えてた!次は私の家に来てね!
もちろん、と打とうとしたがその前に僕の睡魔が襲いかかり寝てしまった。
何だか今日は、凄く心が疲れた気がする。でも、最後は可愛い猫とムーちゃんが見れて幸せだった。
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