08:センセイ

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僕の彼女になって欲しい。 ことりちゃんにいつも、そう言いたくて仕方がなかった。けど、僕には障害と多額の借金がある。それが足を引きずって、ずっと言えないでいた。 そして、今も言えない。 抱きつきながら、こう告白した。 「特別な人。僕が今を生きるために必要な、本当に大切な人。」 これが精一杯の僕の告白。 伝わったかな。 恐る恐る顔を見ると、笑顔のことりちゃんがいて一安心した。 僕は彼女の病院服の紐をほどき胸を露にさせ、頬擦りしたり指で楽しんだ。 そんなこれからって時なのに、タイマーが鳴って僕らを邪魔してくる。 「・・時間配分失敗した。」 『絶望的な顔も可愛い(笑)』 「仕事、行きたくない・・。あぁぁぁっ・・イヤだぁ・・。」 『今日の抵抗は一段と凄いなぁ(笑)』 「・・・・。」 『ほら、胸を堪能したんだし。』 「うぅっ、ことりちゃんは僕がいなくなって寂しくないの?」 ことりちゃんは、苦しそうな顔をする。 これからシンドイお客様に仕事へ行く僕なんかより、ずっと辛そうだ。 震える手で、ホワイトボードに思いを書いてくれる。 『行かせたくない。でも、私は何もできない。何もできないでごめんなさい。』 そんな彼女の苦痛の笑みを見て、更に重い足取りで前に進んだ。 今回のお客様は、よく僕が使っていた道を通って向かう。 向かう途中、小学校の前を通った。その体育館の裏に花が咲いていた。日影の中太陽の光を求め明るい方を目指して首を伸ばしている。 それを見て数少ない僕の記憶から、唯一僕に構ってくれた先生の言葉が甦った。 「久保君、このお花はお日様がないと育たないと言われてる。でも、影の中でもきっちり光を求め、育っているでしょ?どんな花も太陽の光さえあれば、それを目がけ育っていけるのよ。」 僕は道端に咲く様々な花を見ながら、お客様の住む場所に向かう。 ついたのは、少し古めのアパート。お客様の住む部屋の扉前には、ダンボールが置いてある。 お客様の指示。中の物を装着して部屋を訪ねて欲しいとのこと。
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