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「久保君・・!起きてよ、久保君!」
そう起こしてくれたのは、押切先生だった。
「アハハッ!相変わらず自由ね!よく眠れた?」
「うん。卒業式終わったの?」
「うん。終わっちゃった。」
「じゃあ、帰ろうかな。」
「そっか、ちゃんと卒業式終わるまで帰らないようにしてたのね。久保君、偉いね!ただちょっと待って。最後に先生のお話しを聞いてほしい。」
そう言い、日影の中で頑張って光を目指し茎を伸ばして咲く花を指差して説明をしだす。
「久保君、このお花はお日様がないと育たないと言われてる。でも、影の中でもきっちり光を求め、育っているでしょ?どんな花も光さえあれば、それを目がけ育っていけるのよ。」
「へー。」
「だからね、久保君も太陽の光さえ見つければ、前のように笑えるし、立派に育つの・・。どんなに辛くても・・立派に・・ううぅっ・・。」
「先生、何で泣いてるの?お腹痛くなっちゃった?」
泣きながら抱き締めてくる先生に、当時その言葉の意味が分からなかった。
「センセイ。昔さ、太陽の光さえあればどんな花も育つって教えてくれたよね。」
センセイとのお風呂中、僕がそう話しをふると、少し考えた後にハッと思い出す素振りをして頷いてくれた。
「今の僕からしたら、凄く綺麗事。皆が太陽の光を求めると、それに対応出来ず枯れてしまったりそもそも花が欠陥して咲かなかったり・・僕はこの障害者用出張風俗をして沢山見てきた。」
そう、太陽の光を浴び花が育つという普通という概念は、世間の壁を持つ人達にとって凄く重荷で育つ花も育たないのだ。
「でもね、1つ1つその適した環境を見極めて周りの暖かい目があれば、キチンと咲く花が沢山ある。咲かなくとも、そのゆっくりながらも成長する花に感化されて更に大きくなる花もあれば、意外な条件で開花する花もある。」
そう、花によって様々だ。
「僕の場合、普通は枯れてしまう環境の悪い枯渇した暗い土地で咲く花だった。沢山踏みつけられたからこそ生きる手段を身につけ、支えてくれる人に甘えつつも自分で栄養を出しそれなりの花をつけれた。人によって、汚かったり歪な花だけど。」
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