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「せっちゃん、約束!スマホの番号をどうぞ!」
「凄い。とことん私に個人情報を晒すんだね。そして、せっちゃんって呼び名・・。」
「嫌ですか?」
「むしろ、フレンドリーで嬉しい限りだよ。良かったら敬語とかもなくなったら嬉しいな。」
「うん、その方が僕も嬉しい!後ね、せっちゃんは男性の時の呼び名。女性の時は雪華さん。」
「なるほど。・・久保君、やっぱり男の時と女の時だと私は別物って感じるかな?」
「うん。同じようで、違う。少なくとも僕は仕種と動作で見分けられる自信がある。」
「・・私も思う。同じだけど違う。男の方が怒りにかられやすいがその分行動的で大胆だ。でも女の場合は強い闘争心はなく穏やかだが不安要素にかられやすい。両方とも私という人格なのに。」
「せっちゃんと雪華さんの場合、男と女のいいところ取りなんじゃないかな。辛い部分も沢山あるのだろうけど、Xジェンダーだから人を思いやれる部分があるんだと思う。男の方はまだちょっとしか見てないけどね。」
「・・あんな事があったけど、男の部分とも仲良くしてくれるの?」
あんな事?
あぁ、セックス中に男に切り替わった時の事か。
「どちらかというとアレは、僕がプロ失格なだけだよ。あの時ごめんね。そして、これからよろしくね、せっちゃん。」
せっちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。そんな和やかの空気の中、僕の分のお冷やを店員さんが置いてくれる。
そんな彼女を微笑ましそうに見たせっちゃんは、こう話しを振ってくれた。
「久保君を初めて見たのは、2年位前。」
「このお店で?」
「あぁ。その時凄く混んでて、ホール2人で回りきれず、そのうち1人が仕事が出来なかった。オーダーミスや提供場所のミス、料理を落としたり食器を割ったり。忙しかったり新人なのもあったとしても、あまりにミスが多くて他人ながらもヒヤヒヤした反面、この仕事は向いてないんだろうと思っていた。特に久保君の前では凄く失敗ばかり。でも、君は何をやらかしても許してあげていたんだ。」
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