09:ムーちゃん

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いつもの朝の日課をこなす最中の出来事だ。 食事を食べながら見るニュースで、衝撃的な事をしってしまう。 「昨日、聴覚障がいを持つ女性を歩道橋から落とした男性が逮捕されました。」 落とした日や場所といい、明らかにことりちゃんの事だ。あまりの衝撃さに朝食の鶏ハムを落としてしまった。 「突き落とした理由は、喋り言葉が人からかけ離れた障害者が気持ち悪かったと供述しています。」 その後に専門家が、聴覚障がい者は自分の声が拾いにくく上手く話せない人がいる事を解説しつつ、2度とこんな事があってはいけないと力説を唱えた。 再度、ことりちゃんを突き落とした犯人がフードを被り登場した。 世間の障害者だろ、お前は。そう心で毒づいてテレビ越しに睨み付ける。 「次のニュースです。小学校の教師、わいせつ行為で自首。自首したのは押切関子(オシキリセツコ)容疑者37歳。」 僕はテレビを消した。癒しのお天気お姉さんを見る前に、耐えられないものばかりを見せられてゲンナリだ。 幸いにも、一緒に朝食をとる鳥達が僕の頭に乗っかりピチクリ鳴いて慰めてくれる。 2人のお客様を相手にした後、僕はことりちゃんのいる病院へ向かった。 「はぁ・・病院から遠いお客様相手だから、面会が終わるギリギリになっちゃった・・。」 『会えて嬉しい!けど、正直無理してない?』 「今日は、ちょっと無理した。でもそれ以上に聞きたい事があって。」 『どうしたの?』 「今日のニュースで知った。ことりちゃんのこの怪我、自然の事故じゃなくて他意があった事故だったんだね。」 『バレた(笑)』 「笑じゃなくて・・。本当にごめんね、僕あの時家まで送ってけば良かった・・。」 『久保君の見送りに行ったのに、私を送ったら見送るじゃない(笑)』 「トラウマ増やしてごめんね・・。」 今回知った件は、凄く胸に突き刺さった。 ことりちゃんが心の傷を癒すべきなのに、逆に僕が頭を撫でられて慰められている状態だ。 ことりちゃんは微笑みながら、いつものようにホワイトボードに綺麗な字で書いて明るい言葉を返してくれる。
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